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悪人 By吉田修一

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♦︎悪人(上)(下) By 吉田修一

 

あらすじ:九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の

清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。

母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。

ヘルス嬢に真剣に恋をし、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。

そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何かー。

 

(下):馬込光代は双子の妹と佐賀市内のアパートに

住んでいた。携帯サイトで知り合った清水祐一と

関係を持つようになり殺人を告白される。自首しようとする

祐一を引き止め、一緒にいたいと強く願う。

光代を駆り立てるものは何か?

 

作品概要:2007年に出版。2008年度本屋大賞第4位。

2010年に映画化。同年に英訳版「Villain」が出版された。

社会的フィクションストーリー。性的な内容含まれます。上下あわせて520ページ前後。

 

著者吉田修一

1968年長崎県生まれ。他作品「パレード」、「パークライフ」、「静かな爆弾」「怒り」「横道世之介」など多数。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ含みます!⚠️

 

感想:読みきった後、ずっと興奮してました。

とりあえず、端的に表すと、苦しい、辛い、しんどい!って感じでした。

タイトルにもなった、悪人っていうのが、もちろん

この小説の主題なのですが、読み終わったあとに、

このタイトルがいかに深いか、含みをもっているかってことを

思い知るんです。

ストーリーの構想や、登場人物の心理描写、気持ちの変化、トラウマを

抱えるキャラクターの思考などが

かなり鮮明に表現されていて、この作品の

魅力にひとつかなあと感じます。

まるで、自分のとなりに、清水祐一が存在しているかのような

別の意味の親近感っていうものが構築されました。

個人的な解釈なので、著者が意図するものと

違うかもしれませんが、

本当に悪い人ってどういう人?って

自分の中にあった基準というものが曖昧になりました。

そして作中で、登場する人物はあえてでしょうか、

皆、それぞれ短所があり、

他者から見て受け入れられない思考をもっていたり、

何かしら、過ちを犯していることが読み取れました。

自分自身も含めて、人はみな心に「良」と「悪」を

もって生きているという観点について

作品を通して、その良とはなにか、悪とはなにかという

疑問を読者になげかけているのでは?ないかと

考えます。

被害者である佳乃が友人についた嘘や、家族・祐一をはじめ

他人への態度は、なかなか許しがたいです。

増尾の自己を過大に誇張し、他者への配慮、共感、感謝ができない

点は、人生においてもったいないと感じますし、

佳男への態度について振り返ってみれば、

あまりに自分勝手で、とても憤りをかんじます。

(この作中では彼のいいところがあまり書かれていないため、始終、ずっと増尾への嫌悪感を抱きながら、話をよんでおりました・笑。スパナで少しぐらいやられるくらいすればいいのにと思っていました。。><ダメダメ)

こういった、彼らの日常的な「悪」というのは、

程度の大小はあるものの、人をときに傷つけてるかもしれません。

対して、

とても興味深いのが、清水祐一というキャラクターで

語られた、「悪」についてです。

佳乃を殺害するに至った点はもちろん、許されません。

殺人は間違っています。誰にも、人の命を奪う権利などありません。

ただ、祐一について、無愛想ながらとても思慮深く、愛情深いことがわかります。

祖父母の送迎をし、毎日真面目に仕事に出向き、

自分を捨てた母にも会っています。

母にお金をせびっていたとありましたが、

なぜだろうとずっと疑問でした。

が、祐一が風俗嬢に語る場面で、

「どちらも被害者はなれんたい」といっていたことで

祐一の母への思いやりが伝わってきました。

双方が被害者にはなれない。

だから母が、子供を捨てたと罪悪感に苦しみ

負い目を感じながら日々を過ごすことが

少しでも軽減されるように、

お金をせがんで、自分を悪くみせ母が被害者になるよう

彼なりの考えだったかもしれませんね。

 

祐一と、光代。人って孤独には

勝てない。

どちらも、ずっと抱えて

生きてきたものが似ていたこと

が関係を築く上で大きかったでしょう。

祐一は光代のことを信頼し、彼女の幸せを

心から願っていたようにかんじます。

印象的な最後のシーンで、警察の前で

祐一が光代の首を締めますよね。

私は、光代を被害者にし

これからの光代の生活と未来を自分の未来と全てを

引き換えにして守るためだったと解釈しました。

祐一は殺人を犯したことに、死刑になったらどうしよう

と恐れていました。

そんな中で、さらに罪を重ねるような行動を警察の前で

とるということは、

刑への恐怖よりも、光代への愛が勝った心の変化だった

と思い、祐一の愛情の深さと、結ばれない2人への

悲しい結末に本当に心を打たれました。

最後の祐一の供述も、光代に自分のことを

待っていても幸せになれないと

認識していたのではないかととれました。

嫌いになって、被害者として

生きやすい生活へ導き、幸せに暮らしてほしい

と願っていたんだなあと、思いました。

一方、光代は、当たり前といえばそうですが

首を締められた事実と、供述をきいて

祐一のことを「悪人」だったと思っちゃうんですよね。

祐一のことを信じきれなかったんですよね。

祐一にとったら、辛いですが、彼の希望通りかもしれませんが、

この最後に信頼することができなかった

愛情にも、なにかぐっとくるものがあります。

結局は、祐一が罪をすべてひとりで被り、

世間から「悪人」としてこの先

光のない人生を獄中で送ることになる

悲しい結末に、読んだ後もずっと心が苦しかったです。

 

 

書けば書くほど、暗くなりましたが、

本当に深いいい小説でした。

しっかり腰を据えて読む小説です。

自分の中に住む「悪」を意識しながら

他者への愛情や信頼というものを

信じる大切さや儚さをこの作品を

通して、学ぶことができた気がします。

 

次は「怒り」も読んでみようと思います。

 

 

 

最後までご覧くださりありがとうございました。

Happy Reading♩

 

 

 

 

 

 

 

 

お探し物は図書室まで By青山 美智子

こんにちは。

 

 

本屋大賞2021受賞作のうち、最初に読んだのは

♦︎お探し物は図書室まで By 青山美智子 著

でした⭐︎

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前回の記事で、こちらの本は2月のTBRとしておりましたが

結局、読み終えちゃいました。

こちらの本は、誕生日だからとプレゼントしてくれたうちの1つ。

なので、なんだか特別な作品となりました♡

本をプレゼントしてもらうのってとっても

嬉しいですよね。なんで、この本を選んでくれたんだろうとか

いろいろ考えるのが楽しいです。笑

(今回は、父にあらかじめこれが欲しいといっていました。笑)

 

他の受賞作も気になっているのがあります。

全部新書で購入してみたいですが、手持ちの未読のものを

ある程度、読んでからにしようと思っています!笑

凪良ゆうさん2年連続受賞ってすごいですね。

滅びの前のシャングリラもおもしろそうなので、

既に読まれた方がいたら、ぜひ感想をおしえてください♩

 

前置き長くなり、すみません(>_<)

さっそく、読んだ感想について記載していきます。

 

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♦︎お探し物は図書室まで By 青山美智子 

 

ジャンル:文芸書

出版社:ポプラ社

ページ数:304ページ

著者:青山 美智子

  1970年うまれ、『木曜日にはココアを』、『猫のお告げは樹の下で』他

 

あらすじ:お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、

思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。

自分が本当に「探している物」に気がつき、
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

 

感想:5つの章から構成され、それぞれ独立した

おはなしなのですが、それぞれのお話は

同じ地域が舞台なので、登場人物も

そうですがつながっています。

とても、読みやすいお話でした。

全体の構成もとても整然としており、

細かすぎる人物設定や、背景がないので

良い意味でとっつきやすい印象です。

それぞれの登場人物が、違った悩みや問題を

抱えて、ある図書室で史書に何冊か本を選んでもらい

そこから、彼らが何かを感じ、考え、

結果的に、求めていたもの、探していたものに

対する答えを手にしていく過程を垣間みるような感じです。

史書が個々に(インスピで)選定する本と

現実世界で起きている物事のコントラストというのか

対比がとても絶妙にかみあっていて

なるほどなあ〜って少し感動したりしました。

この手の本は、SFやミステリーとちがって

ずっと集中、没頭することってなかなか

簡単でないと思うのですが、(私だけかもしれませんが)

こちらはどの部分をとっても退屈しませんでした。

テーマが王道で読むのを躊躇していたら

もったいないかもしれません。

所々クスッと笑える箇所あり、涙あり。

 

私が生まれた日と、

ここに立っている今日、

そしてこれから来るたくさんの明日。

どの日だって、1日の大切さになんの違いもない

 

第3章、5章がとてもお気に入りですが、

人の心の温かさや優しさを

リアルに感じさせてくれる良書です。

それぞれの登場人物も皆んな

とても素敵でした。

何が素敵かって、なんだろう。

共通しているのは、皆それぞれ「解決したい」

とか「何か違う」とか自分の問題にしっかり

向き合っていたことではないかと思います。

その姿勢が、彼らを図書室へ、司書のもとへ、

そして、出会うべくしてであった本と

出会うことができ、

そこから、その本にであった意味を模索していましたね。

きっと投げやりになっていたら、

誰も、司書が選んだ本に出会った意味について

答えを見つけることができなかっただろう。

 

自分の仕事に対し、誇りを持てなかったり

新しいことにトライしたいけど、一歩が踏み出せなかったり、

キャリアと子育てのバランスがとれなかったり

社会での居場所がみつけられない、

定年後、すっぽりあいた心とスケジュールに

意義を失いかけていたりなど

登場人物が抱えている問題はどれも

本当にありがちだけど、とても深刻な悩みだと感じます。

一筋縄ではいきませんが、

いろんな人との出会い、物との出会いを大切に

考え、行動し、結果、前向きに物事を運んでいく

姿がとても印象的で、この本の一番の魅力

だと思います。

 

結局、どんな本にであうかではなく、

どう感じ、どう見て、どう行動するかが

未来を決めていくということかもしれませんね。

読書を進める中で、

その本が自分の人生に与える影響を

立ち止まって考える良い機会でした。

 

他の作品もぜひ読んで見たくなりました。

 

 

ご覧くださりありがとうございました。

Happy Reading.

シャッター・アイランド By デニス・ルイヘン

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♦︎シャッター・アイランド Byデニス・ルイヘン

あらすじ:精神を病んだ犯罪者のための病院で

女性患者が謎のメッセージを残し、姿を消した。

鍵がかかった病室からどのようなトリックを使って

抜け出したのか?そして病室には「Law of 4(4の法則)」

なる暗号が残されていた。

連邦保安官テディは病院に赴くがあることに気を取られ

捜査ミスを犯す。妻を殺した男がここに収容されていたのだ。

ボストン沖の孤島に建つ病院で惨劇が始まる。

 

ジャンル:心理サスペンス

 

ボリューム:文庫、460ページ(早川書房

 

その他:2006年出版。

レオナルド・ディカプリオ主演で2010年に映画化もされてます。

小説は英語・日本語ともに読みましたが、

アメリカの刑事小説に頻出する英単語は最低限

知っていないとなかなか読み進まないと思いました。

またどの刑事物でもそうですが、

特にFBI,CIAといった組織と日本の警察の

組織構造をざっくり知っている方がより

話がわかりやすいです。

(知らなくても全然読めます!)

だいぶ前に流行した作品ですが

今年にはいって初めて読み、人気の理由を実感✴︎

 

 

 

というわけでネタバレなし

感じたことを書いていきたいと思います。

 

自称、ミステリー・サスペンスもの大好き

にんげんですが、このシャッター・アイランドは

月並みですが、とっても良かったです。(語彙力)

スリル満点(120%)

舞台はアメリカのボストン沖の

孤島にある精神病院なのですが本のカバーにもあるような

超、不気味な雰囲気の島で

本の冒頭からこの不穏な世界観に引き込まれました。

そこで、女性患者のひとり「レイチェル」が

抜けだし行方不明となり、主人公の捜査官テディが

彼女の行方を探るんです。

作者は本当に見事に、読者に数々のヒントを

与えながら、物語がすすんでいきます。

なんだか彼女の行方が分かりそうでわからないので

中盤はとてももどかしく、さくさく読み進めれました。

暗号や解読するテディの思考回路が

サスペンスファンならわくわくするシーンの1つ

ではないでしょうか♡笑

イミテーションゲーム等、暗号解読ものが

好きな方なら、この作品の前半はとっても

興味深い内容と思います。

いろんな患者がでてきますが、

頻回に名前もでてきますし、

よくある登場人物が多すぎて、誰のことか

わからなくなるあの現象(この現象に名前が欲しい。)

はこの作品では起きませんでした。(安心)

 

医療技術、(ここでは特に精神疾患への社会の

理解をさしますが)があまり進歩していない

1950年代を舞台としておりますが、

小説での監獄を思わせる細部の設定は

とても評価ができる部分です。

精神疾患を抱えた者に対する社会の目だったり

そこで働く医療従事者たちの態度、言葉からは

監獄へ葬られた犯罪者と接するかのようで

考えさせられことが多かったです。

作中の1つの魅力は

キャラクターそれぞれの心理描写が

巧みに表現され、翻訳版もうまい具合に

噛み合っており、小説の後半は自分自身の思考が

キャラクターの一部と融合してしまったか

のような錯覚に陥りました。

ストーリーも本当にしっかりとぶれずに

流れていきます。深い。ただの犯人探しではなく

人間の心理とは、とういうテーマと

深く絡みついた作品となっています。

本当の恐怖とはいったい何か。

強いトラウマが人間の心へ与える

衝撃とその衝撃がもたらせる

心の中の変化が全体を通して描かれており、

それは現実世界でも、この作品の中でも

共通する部分は多いため、

そういった点では、キャラクターの

立場になって考えると最後は本当に

いろんな感情で心が揺さぶられました。

すごく深いお話でした。

 

映画もみてみようかなあと思いますが、

かなり、感情的に負担が大きいので、

もっとライトな小説でも読んでからになりそうです。

もう1月おわろうとしておりますが、

2月は洋書を最低2冊は速読力の鍛錬も含めて

読了したいです。

新書で欲しい本が何冊かありますが、

とりあえず手持ちのよみかけの本をよんでからにしようと思います。

 

2月のTBR

♦︎Along The Ride By Sarah Dessen 

♦︎The Power of Now By Eckhart

♦︎お探し物は図書室まで By 青山 美智子

♦︎裏庭 By 梨木 香歩

♦︎悪人(上) By 吉田 修一 

♦︎悪人(下) By 吉田 修一

 

 

 

以上です。

最後までご覧くださりありがとうございました♩

Happy Reading♩

 

 

 

 

 

 

The Japanese Lover by Isabel Allende

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♦︎The Japanese Lover by Isabel Allende

 

 

 

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あらすじ:1939年、ポーランドナチスの陰に陥り、世界が戦争に突入すると、若いアルマ・ベラスコの両親は彼女を海外に送り、豪華なサンフランシスコの邸宅で叔母と叔父と一緒に暮らし始めました。 そこで彼女は、家族の日本人庭師の息子であるイチメイと出会い、恋に落ちる。真珠湾戦争に続いて、日本人であるという理由だけでイチメイ家族は収容所へ送られ、2人は残酷に引き離されます。 アルマと一明は生涯を通じて何度か再会しますが、彼らは永遠に世界から身を隠すことを余儀なくされる。

それから 数十年、アルマは長くて波乱に富んだ人生の終わりに近づいていた。

暗い過去をもつ介護福祉士のイリーナ・バジリは、老人ホームで高齢の女性と孫のセスに会う。 イリーナとセスが打ち解け、日常を送る中で、アルマに送られた一連の不思議な贈り物や手紙に興味をそそられ、イチメイと70年近く続いている秘密の情熱について知っていく。

 

著者:イサベル・アジェンデ
1942年ペルー生まれのチリ作家。ジャーナリストとして活躍中の73年、叔父のアジェンデ大統領が軍事クーデターで暗殺され、その時代に執筆した『精霊たちの家』が絶大な反響に。作品は多数ある。

 

読んだ感じ:とても感動しました。(T ^ T)

これ、日本語でも出版されてるらしいです。

英語で読んだから勉強になったけどすごく時間がかかった!笑

最近洋書をよむ機会が減っているせいか、スピードが本当に遅いです。

1日100ページぐらいが、限界です。笑

主人公は介護士のイリーナという女の子なのですが、

彼女がはたらく、老人ホームの経営者?だったかな

アルマという女性の過去と現在のラブストーリーがメインストーリーです。

1940年前後、アメリカではたくさんの日本人移住者が

すでに生活していましたが、戦争をきっかけに

アメリカ国内の日本人の生活が一変します。

住居、資産が差し押さえられ、生活の自由を奪われます。

そんな中、若きアルマと、日本人でアルマの叔父の邸宅の

庭師の息子だったイチメイは恋をする。

もちろん人種が違う者同士の恋愛はタブー。

しかも、資産家の親戚の下で暮らすアルマと

労働階級のイチメイとの間には、

社会的地位の格差があった。

家柄、世間体、時代の問題があり、

2人が一緒に人生を歩んでいくには

あまりにも、困難が多すぎたのです。

そう思うと現代の先進国で生きる私たちって

恋愛しやすい環境?

言い方が変かもしれませんが、笑

そんな風にも感じました。

 

アルマとイチメイの2人は毎週木曜日、

廃墟のような、モーテルで会う約束をし

愛をはぐくんでいきます。

戦争、時代が2人を引き離し、何度か再開するも

結局結ばれないお話に何度も胸が痛みました。

イチメイの思慮深さと誠実さに本当に感動したのと

誰かを愛するということの、偉大さが

このお話では特に強く語られていました。

誰かを一生をかけて想い続けること。

人が人を想う気持ちの強さは、例え

戦争でも、長い年月でもっても勝てなかった。

そんな強さに、イリーナやセスも少なからず

影響を受け、自分たちの過去のトラウマや

困難にまえを向いて歩いていけるよう

なったのかなあと感じました。

とても、悲しいお話ではありましたが、

人を想い続ける、愛し続けることの強さや

素晴らしさを感じさせてくれるお話でもありました。

繰り返しになりますが、感動する物語。

 

ぜひぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

Happy Reading.

 

 

試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。 尾形真理子

人と違うのが個性ではなく、自分らしさが個性。

 

 

 

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♦︎試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。By尾形真理子

 

前々から、タイトルについて聞いたことがありましたが

友人にすすめられるまで読んだことがありませんでした。

本を読み始めるのってなかなかきっかけがないと

積読が多いので、こういった普段あまりよまない

ジャンルって触れる機会がないので、とても新鮮な経験が

できて嬉しいです♡*

 

あらすじ:新しい服を着てみたら、新しい自分に気づいた。

そんな経験をしたことはありますか?

恋愛にどこか不安や悩みを抱えた5人のアラサー女性が

自分のために作られたかのような運命の一着に

出会うことで、前向きな一歩を踏み出していく。

オムニバス形式の作品。

 

すぐ読めちゃう長さです。

コピーライターである著者が執筆されていますので

普段長編小説等、活字に苦手意識がある方でも

テンポよく読める作品です。

 

読んでみた感じ:ある程度淡々と物語は進みます。

お話の設定にでてくる、セレクトショップとそこではたらく

店員さんの雰囲気がすごく伝わってきて、

本当にこんなセレクトショップあったらいいな〜と

思いました。笑

ここの店員さんは、本当にファッションが好き、

服はただ外見を着飾るものとしてではない。

その人のその人らしさを一瞬で見抜いて、

服装を提案します。

人の中に美を見いだせる店員。

女性の魅力っていうのは、本当は時代が求める美的センスや

若さみたいな一時的なものにはないんだ。と

感じました。

ひとつひとつの言葉がすごく温かくて

心地よかったです。

そんな素敵なショップに、様々な境遇の女性たちが

それぞれの悩みを抱えて足を運びます。

みんなそれぞれ、物事に対する

見方だったり、考え方を少し

変えたりして、いろんなことに一生懸命

立ち向かっていて、気持ちがかわれば

自然と人との関わり方も変わったりなんか

していて、少し落ち込んだ時に前向きに

してくれそうなお話でした。

 

何より、私自身も大のお買い物好き、服大好きっこ

なので、カバーのデザインも本のテーマも

ファッションってことで、とても気に入りました。

たった1着特別な服をきて、おしゃれをするって

女性の特権ですし、楽しいしすごく有意義ですよね。

別に高級なセレクトショップで購入しなくたって

いいんです。自分が気に入って

大切に着ているのであれば、それはもう特別な一着です。

 

お話の中で、登場人物の何人かが試着室で

新しい服をきてみて、とてもわくわくして

どこに着ていこう?

だれにみせよう?

と気分がぐんぐんあがっていく姿に

本当に共感できました。

 

おしゃれをするって楽しい!って

思える一冊。

普段はあまり、こういったジャンルは読まないですが

これからもっと開拓していきたいです♩

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

Happy Reading~♡

 

 

 

12月前半の読書記録

こんばんは♩

最近とても寒くなってしまって、

なんだか服装がトーンダウンしがちですが、

健康に毎日生きています♩

さて、今月も残り一週間と少しですね( ;  ; )

はやすぎる。

読みかけの本もありますが、とりあえず4冊

よみきりました。

通勤中が主な読書時間になっているため

重い洋書よりも軽くて小さい文庫本ばかりで

全然洋書がよめてないのですが、

今月より読み始めた洋書があるので、

年内にがんばってよみきってレビューをかければと思います❣️

 

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♦︎雨心中 By唯川 恵

♦︎愛しても届かない By唯川 恵

♦︎鏡の迷宮 By E.O.Chirovici

♦︎ふたつのしるし By宮下 奈都

 

 

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♦︎雨心中 By唯川 恵

 

あらすじ:施設育ちの芳子と周也は実の姉弟にように生きてきた。

芳子にとって周也はこの世で唯一「私のもの」といえる存在だ。

周也は仕事を転々としているが、

そんな彼を責めることもできずに

優しく受け入れる。

周也を甘やかしだめにしていると自覚はあるものの

何もできずにいる芳子。

そんなある日、周也がある「罪」を犯してしまう。

それを知った芳子と

周也がとった行動の未来に待ち受けている結末とは、、。

(一部本書より抜粋)

 

感想:ページ数は300後半超えと長く感じますが、

一気に読めちゃいました。

カバーがかわいい感じで興味があったので

購入してみましたが、中身が相当悲しいというか、

重いというか

カバーとの落差がすごいです。笑 

今月唯川さんの本2冊よんだのですが

すごく人の気持ちをリアルに描くのが、上手で

とても引き込まれる文章でかなり評価高いです!❣️

この本では、男女の恋愛については

あまりフォーカスされていないのですが、

1人の人間の他者へのつながりや愛情といったものに、

フォーカスされています。

一見、主人公の芳子の気持ちを理解できないと感じるのですが、

読み進めていくうちに、

芳子の立場にたって考えると感じ方が変わっていました。

あたりまえのように、家族と暮らしてきた自分の立場では、

想像しにくいですが、幼い頃から一緒に暮らしてきた周也との

関係はいくら他人でも芳子にとっては家族と一緒の絆で、

例えば、周也の借金を返すために周也に隠して、

水商売をしていたり

バイトをかけもちしたり、、。

いくら家族のためでもそこまで

体をはって働くことは簡単じゃないし、

周也のことを去るという選択肢ももちろんあったはずですが

一緒に住むことを選んでいます。芳子にとって、

周也という存在が芳子自身の生きる理由?というか

たったひとつのつながりだったのかと感じさせられました。

年齢を重ねるごとに孤独に対して、

敏感になるのは、私だけかもしれませんが、

どんな人も孤独でいきていくことは

困難であると私は思います。この作品の中でも

人間が孤独の中でみつけた他者とのつながりを守ろうと

必死になる姿がよく書かれていて、フィクションならぬ

奥深さがあって、本当に感銘を受けました。

同時に、自分の幸せのために

関係を断ち切れないことって

めずらしいことじゃないと思いましたね!

いろんなレビューで、周也とはやく離れたら、幸せだった

という意見がありました。

結果論になりますが、確かにはたからみればそうだと思います。

が、きっと同じ立場になってみたら、

私もきっと、周也との関係を断ち切れないと感じました。

そもそもそれができたら、苦しんでないよって話ですよね。^^;

だらだら書きましたが、

とても読みやすく、現実味のある物語でした。

重たく、悲しい話です。

 

 

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♦︎愛しても届かない By唯川 恵

 

あらすじ:七々子が好きになった彼には既に恋人がいた。

あきらめきれない七々子がとった行動は彼の恋人の美咲と

友達になることだった。嘘をついておとしいれ手に入れた恋。

偽りのない恋だったが。。

 

感想:この恋愛小説とてもおもしろかったです!

いろいろびっくりする展開があって、全然退屈せずに

読めました。ドロドロ系の女性の怖さがかかれていて、

でも現実にありそうな話で、笑

物語の構成がとても興味深かったです。

読んでみたらわかるんですが、

七々子の行動・思考が本当に客観的にみたら

ありえないって感じで、友人をおとしいれるような

発言に対してよんでてただただ不快だったのですが、

最後まで読んでみたらなんか変に全部

納得できてしまうんです。( ;  ; )

「人を好きになることの不条理」

「周りには幸せそうなカップルがいるのに、

私は何もいらない。ただ一緒にいられたら。

その何万分の1もの幸せも叶わない」など

女性でなくても共感できる部分が多いのではないのでしょうか。

付き合ってからの苦しみについても描かれていました。

本当にわかるーーっって思いながら読んでました。( ;  ; )笑

彼氏の家にいったら、「なんかあった?どうしたの?」って

いわれるシーンに「何かあったらきちゃいけないの?」

ってお互い思うことはあるだろうけど、

言われたら正直、傷つきますよね!笑

「きてくれて嬉しい!」って嘘でもいいからいって欲しいと

私なら思います!笑

長編でしたが200ページそこらなのですぐ

読みきれますので、おもしろくて、現実的で

どろどろものが好きな方には是非おすすめです。

 

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♦︎鏡の迷宮 By E.O.Chirovici

 

あらすじ:ある日、文芸エージェントのピーターのもとに届いた原稿。

迷宮いりした未解決の殺人事件についての真相を告げるといいながら

肝心の結末がかいていない。ピーターは残りの原稿の行方とともに

事件について調査を始める。エージェント・記者・警官と次々に交錯する

語り手とそれぞれの視点。全てのピースがそろった時

浮かび上がるありえない事実。(作品より抜粋)

 

感想:とっても読みやすいミステリーでした!

登場人物の数も常識範囲内でストーリーラインも

比較的追いやすいかと思います。大きなどんでん返しというより

読み進めていくうちに、徐々に真実に近づいていく感じの

ミステリーで、別の面白さがあり、良かったです。

この本のテーマとされているのは、「人の記憶の曖昧さ」

作者は何度も、人間の記憶はとても曖昧なもので自分の

意志に関係なく思い込みで物事を理解する癖があると示唆しています。

窓の向こうを注意深くみているつもりでも

実際にみているのは鏡にうつった己の姿なのである。

そのテーマを語り手を変え、それぞれの視点で同じことが別のように

語られ一体だれが本当のことを話しているのか

混乱します。それが目的でしょうけど。笑

そして自分が信じていた事実が、この人ももしかして

全部記憶違い?願望?で語っていたのではないかと

最終誰も真実をかたっていないのではないかと

疑心暗鬼になります。

そこがこの本の醍醐味ではないでしょうか。

今までにないミステリー小説だと思います。

是非、読んでみてください♩

 

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♦︎ふたつのしるし By宮下 奈都

 

あらすじ:美しい顔を眼鏡で隠し、田舎町で息をひそめるように生きる優等生の遥名。早くに母を亡くし周囲に貶されてばかりの落ちこぼれの温之。遠く離れた場所で所在なく日々を過ごしてきた二人の〝ハル〟が、あの3月11日、東京で出会った――。何度もすれ違った二人結びつけた「しるし」とは? 出会うべき人と出会う奇跡を描いた、心ふるえる愛の物語。

 

感想:ハートフルで心あたたまる静かで綺麗な物語でした♩

宮下さんの世界観とても好きです。

今まで読んだ作品はどれも、ほっこりする話ばかりで

この話もとても、よかったです。

ただ、物語自体は結構ありきたりな感じで、時系列も

割とはやく進むので、少し違和感がありました。

私はミステリーやサスペンスを読むことが

多いので、インターバルでよく

こういう静かな落ち着いたものを読みますが

そういう点では本当に目的達成できました。

解説で語られていた部分で印象に残っているものを

紹介しますね♩

 

「人間はひとつの本質を核とした、かぎりなく球にちかい多面体の生きものだ。

ノックする相手によって開かれる窓は変わるし、そこから見える景色も違ってくる。窓の向こうから意外な一面が見えたとしてもこれまでの彼女を否定するものではない。

すべてはひとつの本質から無数にうまれる自分なのだ」

 

こういう視点をもつことって、

他の人と関わる中で、かなり大切なことだなあと感じます。

 

今月もたくさんの良書に出会えてよかったです❣️

よんでくださりありがとうございました。

 

 

 

THIS IS WATER By David Foster Wallace

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「 THIS IS WATER」

By David Foster Wallace

邦題:「これは水です」

 

久しぶりに、エッセイのような作品を読みました。

この作品は、少し前にたくさんの店頭でもかなり

売り込みされていたので、読んだことなくても

みたことある方が多いのではないでしょうか。

私は、先日購入し、その晩1時間足らずで

読み終え、物足りなくて

翌日に再読しました。笑

書式も整然としていてかなり

読みやすいです。

本自体は、アメリカのケニオン・カレッジでの

2005年度の卒業式で祝辞として

デヴィッド・フォスター・ウォレンスが

卒業生に送ったスピーチの内容です。

Youtubeにも本人のスピーチが

英語版で視聴できますので、

そちらもご興味あればのぞいて

みてください⭐︎

 

読んだ印象としては、

人によって、かなり解釈や感じ方が

明確にわかれる作品だとおもいました。

様々な解釈があるから読書の面白さは何倍にも

膨れ上がると感じますがたったこの短い文章の中で

読者にいろんな思考・感情を巡らせ、問いかけることは

簡単なことではないでしょう。

 

著者については、作品の解説にも

生い立ちがざっくりと記載されており、

解説を読んで、作品を読むとまた違った視点で

読めると思います。

まだ未読の方へざっくりと

著者について書いておきますね⭐︎

 

 

著者:David Foster Wallace

生まれ:ニューヨーク州、イサカ 育ち:イリノイ州

職業:作家

他の著作品:『システムの箒』『無限の道化』他

鬱病を抱えており、薬物治療・電気療法等、治療に望んでいたが

2008年自宅で首をつり46歳の若さで亡くなる。

 

大変な人生を生き抜いてきた彼が

語ったスピーチは、なんだか彼が自分自身に

問いかけているようにも取れました。

この作品は亡くなる前年に行われているため

彼がスピーチとして、人前にでて語る機会は

これが最後でした。

 

本の内容はやや哲学対話のような感じです。

文面の抽象度は一般的なものにくらべ

低いため、誰が読んでもある程度理解できる内容かと思います。

扱っているテーマのキーワードは、

「生きること」「選択」「自由」「一般教養」。

教育の本質的な目的が、具体例に絡めて語られており

一般教養の起源や当たり前すぎて

忘れていたゴールなどをはっきりと語っています。

彼は作品中でリベラル・アーツ(一般教養)

について「ものの考え方を教える」ことが真理だ。

といいます。それは、なにをどう考えるか

コントロールするすべを身につけるということ。

 

学生だと、試験や提出物の目先の課題におわれ

目的を見失いがちです。

誰もなんのために勉強するのか、教えてくれないですから。

私もうまく答えることができません。

しかし、作品を吟味してみて

感じたことを言葉にして表すとすれば、

学習する意味というのは、

社会生活の中で、来る日も来る日も

その当たり前だと勘違いしているの日々に

努力して意識して、謙遜し

感謝をしながら、この世界は自分中心ではないという

意識をもち何をどう考えようか。

と正しく選択し、生を全うするためだ

と感じます。

著者の言葉を借りるとすれば、

最後の「生を全うするため」は

「50代になって自分の頭を拳銃で打ち抜きたくならないように」

となるわけですね。

このすべをもつことを放棄すれば、

退屈な日々に、頭の奴隷に支配されて

自殺をしたくなるということが示唆されている文章のようにもとれます。

深いですね。

 

私もよく学生の頃、

「こんなこと勉強しても将来役に立たない」

とくくり、特定の分野を避けたりしてきましたが

あの時の自分がこの本を手にとって、

内容を理解できていたら勉強ももっと

楽しく、実のあるものになったのではないか

と感じました。

大それた話に聞こえますが、

なんだか著者は人生の本質について

自分自身の答えをもっていて

それについて、自己を反面教師として、

未来ある若い卒業生へとそんな言葉を託された気がして

胸が熱くなります。

 

タイトルの意味は、作品をよめばきっとわかるはずですので、

あえてここでは、書かないでおこうと思います。

 

最後に、心に残った一文を記載しておきます⭐︎(一部本文より抜粋)

 

あまりにもわかりきっていて、ごくありきたりの

いちばんたいせつな現実というものは、えてして

目で見ることも

口で語ることも

至難のわざである

 

人生を豊かにしてくれるアドバイスとして

捉え、作品をのこしてくれた

著者や関係者に感謝したいです。

 

 

では、本日も読んでくださりありがとうございました。

寒くなってきましたが、体調にきをつけてください。