Butter By 柚木 麻子
こんばんは!長らくレビューをかけませんでしたが、先週初めて今更ですが、柚木さんの有名な作品『BUTTER』を読み終わりました。
たくさんの方がすごく良いといろんな所でいっているのを聞いていたので、いつか読もうと購入していましたが読まずに何日経ったことでしょうか。笑
私の方は、最近ようやく転職することができました。中途採用での入社もあって同期もゼロですがなんとか頑張っています。コロナで大変な時期に頂けた内定なので絶対に手放したくありません!笑
さて本題です。
ご存知の方も多いと思いますが、さらっと作品のあらすじをざっくり書いておきます。
あらすじ:男性3人を殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。年齢も、若くなく容姿端麗ともいえない彼女は男性とのデートを生業としていた。女性としての自分への自身に溢れた態度は世間の批判の的となる。そんな梶井の取材をしていたのは女性記者の里佳。彼女には忘れられない過去があった。付き合っていた誠との何気ない会話に違和感を感じていた彼女は、取材を通して梶井と出会うことで、彼女自身が今まで気づかなかったことをどんどん発見するようになる。そして梶井が影響を与えたのは、里佳だけでなく里佳の周囲の人間までも巻き込んでいく。
ここからネタバレあり
サスペンスかなって思いますがサスペンスは作品のフォーカスではなく、おおきーーくいうと社会的問題にフォーカスしてました。フェミニズムや現代人が抱える悩みや問題を扱った長編ストーリー。500ページ超えていたかな?通勤中にこちょこちょしか読めなかったから2週間ぐらい読むのにかかりました。笑(遅)
最初の数十ページは、なかなか進展がなく正直少し退屈だなあっと思いましたが、読み進むにつれてどんどん引き込まれました。どうして引き込まれたか考えてみました。
まずいろんなキャラクターに共通して共感できる部分が多かったこと。
20、30代女性なら特に里佳の視点にたって共感できることが多いと思います。
私自身がそうでした。誠と別れたあと「もう一生結婚しないかもしれない。それでもいいかもと思えた。」と令子に告げる場面がありますがそれに対する令子の返答が心にしみました。笑これは是非、ご自分で読んで知った方がインパクトがあるのであえてここには書きません。
周りがどんどん結婚・出産・引っ越しをしていくと、結婚していないという事実がなぜだか置き去りになっている感じがしますが、そんな人にこそ読んでほしい作品でした。
良い意味でこんな考えや見方があるんだなあと、興味深いです。
柚木さんの人物の心情の移り変わりの描写は本当にさすがでした。読み進むうちに、その人物ともう何年も知り合った友人のように心の中で、像ができあがっているんです。
次によかった点は、容疑者である梶井の言動や態度の変化を通して著者が訴えているメッセージです。
「あれほどまでにバリアを張り巡らし、強靭な精神力で自己肯定し続けなければ、胸を張って生きることが困難な程、この世界の容姿に対する基準は厳しいのだ」本文一部抜粋
梶井に対しての里佳が思ったことが描かれていましたが、まさにそうですよね。
SNSの発達やその他情報社会の中で生きる私たちは常に、”かわいい・綺麗・女性らしさ”という時代が作り出した枠組みの狭い箱の中にいています。
時代・国が違えば、綺麗の基準がずれるように、見る人がかわればものの基準・価値が変わるように、常に美というものは変化していますね。そこに追いつくためにみんな頑張ってダイエットをするし、整形手術をするし、胸を大きくしたい人も大勢いる。
大変だし、生きにくいですよね。
作品の中では、梶井は自分のふくよかな体型についてこう言及しています。
「私は自分が食べた好きなものからできたこの体が大好きよ」と。
細い=美
の文化の中で生きてきた私にとって、生きやすさを教えてくれた本かもしれません。
結局梶井の容疑は明確に事実を語られることがなく、ミステリー読者としてはややもやっとしましたが、毎日を丁寧に生きること、自分を愛することの大切さ、女性としての美に関して著者の視点や考え方が物語を通して明確に著されています。
そういう意味では、良書でした。
とても良かったし、映画化してほしいなあと思いました!
次は何を読もうか〜。
洋書よみたいけど文庫本じゃないと通勤には重すぎて持ち運びたくないし、秋だからハードブックで買ったミステリーも読みたいし。。笑
おすすめあれば教えてください♪
読んでくださりありがとうございました。
そういえば、本日は祖母の誕生日。惜しみなく愛情を注いでくれる優しい祖母の存在にありがとうでは足りない気持ちでいっぱいです。どうか健康でしあわせな毎日が続くように、たくさん会いにいこうと思います💜
ではまた今度💚