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THIS IS WATER By David Foster Wallace

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「 THIS IS WATER」

By David Foster Wallace

邦題:「これは水です」

 

久しぶりに、エッセイのような作品を読みました。

この作品は、少し前にたくさんの店頭でもかなり

売り込みされていたので、読んだことなくても

みたことある方が多いのではないでしょうか。

私は、先日購入し、その晩1時間足らずで

読み終え、物足りなくて

翌日に再読しました。笑

書式も整然としていてかなり

読みやすいです。

本自体は、アメリカのケニオン・カレッジでの

2005年度の卒業式で祝辞として

デヴィッド・フォスター・ウォレンスが

卒業生に送ったスピーチの内容です。

Youtubeにも本人のスピーチが

英語版で視聴できますので、

そちらもご興味あればのぞいて

みてください⭐︎

 

読んだ印象としては、

人によって、かなり解釈や感じ方が

明確にわかれる作品だとおもいました。

様々な解釈があるから読書の面白さは何倍にも

膨れ上がると感じますがたったこの短い文章の中で

読者にいろんな思考・感情を巡らせ、問いかけることは

簡単なことではないでしょう。

 

著者については、作品の解説にも

生い立ちがざっくりと記載されており、

解説を読んで、作品を読むとまた違った視点で

読めると思います。

まだ未読の方へざっくりと

著者について書いておきますね⭐︎

 

 

著者:David Foster Wallace

生まれ:ニューヨーク州、イサカ 育ち:イリノイ州

職業:作家

他の著作品:『システムの箒』『無限の道化』他

鬱病を抱えており、薬物治療・電気療法等、治療に望んでいたが

2008年自宅で首をつり46歳の若さで亡くなる。

 

大変な人生を生き抜いてきた彼が

語ったスピーチは、なんだか彼が自分自身に

問いかけているようにも取れました。

この作品は亡くなる前年に行われているため

彼がスピーチとして、人前にでて語る機会は

これが最後でした。

 

本の内容はやや哲学対話のような感じです。

文面の抽象度は一般的なものにくらべ

低いため、誰が読んでもある程度理解できる内容かと思います。

扱っているテーマのキーワードは、

「生きること」「選択」「自由」「一般教養」。

教育の本質的な目的が、具体例に絡めて語られており

一般教養の起源や当たり前すぎて

忘れていたゴールなどをはっきりと語っています。

彼は作品中でリベラル・アーツ(一般教養)

について「ものの考え方を教える」ことが真理だ。

といいます。それは、なにをどう考えるか

コントロールするすべを身につけるということ。

 

学生だと、試験や提出物の目先の課題におわれ

目的を見失いがちです。

誰もなんのために勉強するのか、教えてくれないですから。

私もうまく答えることができません。

しかし、作品を吟味してみて

感じたことを言葉にして表すとすれば、

学習する意味というのは、

社会生活の中で、来る日も来る日も

その当たり前だと勘違いしているの日々に

努力して意識して、謙遜し

感謝をしながら、この世界は自分中心ではないという

意識をもち何をどう考えようか。

と正しく選択し、生を全うするためだ

と感じます。

著者の言葉を借りるとすれば、

最後の「生を全うするため」は

「50代になって自分の頭を拳銃で打ち抜きたくならないように」

となるわけですね。

このすべをもつことを放棄すれば、

退屈な日々に、頭の奴隷に支配されて

自殺をしたくなるということが示唆されている文章のようにもとれます。

深いですね。

 

私もよく学生の頃、

「こんなこと勉強しても将来役に立たない」

とくくり、特定の分野を避けたりしてきましたが

あの時の自分がこの本を手にとって、

内容を理解できていたら勉強ももっと

楽しく、実のあるものになったのではないか

と感じました。

大それた話に聞こえますが、

なんだか著者は人生の本質について

自分自身の答えをもっていて

それについて、自己を反面教師として、

未来ある若い卒業生へとそんな言葉を託された気がして

胸が熱くなります。

 

タイトルの意味は、作品をよめばきっとわかるはずですので、

あえてここでは、書かないでおこうと思います。

 

最後に、心に残った一文を記載しておきます⭐︎(一部本文より抜粋)

 

あまりにもわかりきっていて、ごくありきたりの

いちばんたいせつな現実というものは、えてして

目で見ることも

口で語ることも

至難のわざである

 

人生を豊かにしてくれるアドバイスとして

捉え、作品をのこしてくれた

著者や関係者に感謝したいです。

 

 

では、本日も読んでくださりありがとうございました。

寒くなってきましたが、体調にきをつけてください。