ザリガニの鳴くところ(WHERE THE CRAWDADS SING)by Delia Owens
『WHERE THE CRAEDADS SING』-邦題(ザリガニの鳴くところ)
著者:Delia Owens
左:今回は原書(英語)で読んでみましたが、翻訳された作品も興味がありますので購入をかんがえています☺️右は早川書房出版のカバーです。
どちらも作品のイメージ通りで気に入ってます♪
ジャンル:文学/青春
要素:ミステリー/恋愛
舞台:1952年-2009 アメリカ南部の湿地帯
著者:Delia Owens アメリカのジョージア州生まれ。動物行動学の博士であり、ノンフィクション3作を本作出版前に執筆。
69歳の時に初めてのフィクションを執筆したのが本作品。
あらすじ:ある日2人の少年がノースカロライナ州の湿地で発見したのは、男の死体だった。
その湿地の中で幼い頃より生活をしていたのは、村の人々から「湿地の少女」と疎まれていたカイア。暴力的な父によって母はカイアと兄弟を捨てて家を出ていき、他の兄弟もみんな湿地をはなれ、カイアは孤独に湿地で懸命に生き続けなければならなくなってしまう。学校に通わないカイアは文字が読めないが、湿地に生息する動物や湿地に関することには精通していた。兄の知り合いであるテイトという少年に出会い、読み書きを教わり彼女の人生は変わりつつあった。そんななか、彼女に好意を寄せていた村の裕福な青年、チェイスとの出会いは彼女の孤独な生活に希望の光を照らしてくれる。しかし、2人の少年が湿地の中で死体を発見した事件の捜査が本格化し、カイアが疑いの目を向けられることになる。
美しい湿地の中で孤独と共に生き続けてきたカイアと事件が交わる先に見える真実とは何か。
以上、作品紹介になります。以下より個人的な感想・意見です。
⚠️ネタバレありますので、未読の方は注意です。
感想:とにかく情景・世界観が綺麗で私もボートにのって湿地帯探索したい!と感じました。
文章表現のみでこの世界観を創造する著者の表現力は圧巻です。
勝手な創造ですが個人的にはブックカバーにあるように、こんな湿地を描きながら物語を読み進めていました。たった一人で魚をとってボートに乗って魚と売ったお金でグリッツ(翻訳ではトウモロコシがゆとされてました)と交換し食をつないでいた生活は、想像できないぐらい過酷であったと思います。7歳からそんな生活をしているなんて現実では考えられにくいですが、設定の年代の南部アメリカなら想像できますね。。
カイアがビーチで毎朝えさをあげているカモメの情景がこの本の中でとてもお気に入りです。友達も家族もいない孤独の中でカイアはテイトやチェイスに出会う前までその心の隙間を埋めるようにカモメ達へ語りかけていました。本当にどの場面も美しすぎました。
少しそれますが、え?テイトかっこよすぎました❤︎何年も経って、まだ好きでいてくれて本当に優しさでできた人間。笑 カイアが刑務所の中でテイトへひどくあたった時でさえ、刑務しぃ生活は人間をこんな風に変えてしまうんだ。ってテイトは言っていましたが、理解力めちゃくちゃありすぎてて、こんなできた人間どこを探せばいるんだってぐらい成熟してました。私の人生のロールモデルです。笑
そして、カイアが父のように慕っていたボートの燃料供給所のジャンピンは、黒人で、作品の中でも差別を受けて石を投げられたり、罵られている場面ありますが、差別が根強く残っている南部アメリカの物語は今の時代だからこそ読むのもいいかもしれませんね。
また、ジャンピン夫妻のカイアに対する愛情とても感動的で作品の見所でもあります。たくさんの村人は湿地に住む汚れた少女カイアを疎ましく思っていましたが、中にはカイアへ優しくする村人もいてあらゆる場面で人間の愚かさと愛情が表裏一体として描かれている部分もかなり深くて良かったですね!
冒頭で、ミステリー要素が含まれているとかきましたが、この本の中心はミステリーではないですが捜査とカイアの過去が2つのタイムラインで描かれていて結局あの死体(チェイス)は事故だったのか、殺されたのか、殺されたとしたら犯人は誰かとわくわくしながら、読み漁りました。笑 チェイスは、親に体裁上無理やり結婚させられたのかな〜だからカイアのことまだ好きだったけど叶わないから自殺したのかなあ〜なんて最後まで思っていましたが、あっさり最後に予想が裏切られてスカッとしました。笑これがフィクションのデビュー作とは考えられない構成ですごいなあと感銘を受けました!
テイトが最後に詩と貝殻のネックレスを見つけた瞬間に全身に鳥肌がたちました。が、カイアの過去と自然界の淘汰の視点を持って考えるとカイアがチェイスにしたことを全面に否定できない自分がいます。その自然界に中での生き物のあり方?はカイアが目にするいろんな鳥や植物、昆虫の生態や行動、そして月の満ち欠けや波の変動よりカイア自身が身につけた視点であり、私には全くなかったものでした。
かなり大きく人間を生物として捉え、自然界の1生命に対して平等にみている彼女のぶれない考え方は、考えさせられました。長々書きましたが、この本の魅力は、自然と人間が融合されて描かれていることであり、その中で懸命に生き抜く人間(カイア)の生命力の強さ・人間らしさ・愛・自然の美しさは、私がこの本をみなさんにおすすめしたい最大の理由です♪
自然が主役の作品はフィクションではかなり珍しいです。
フィクションを執筆するにあたり、真の主役を自然の美しさにフォーカスした著者は、本当に動物・自然がお好きなんだとこの本を読むだけでも伝わってきました。
アメリカへは行ったことはありませんが、いつか訪れる機会があればぜひ、ノースカロライナへ足を運びたいと感じました。
以上です。
読んでくださりありがとうございました。
明日から平日ですね!たくさん働いて、美味しいものたくさん食べて、いっぱい寝て人間生活謳歌しましょう❤︎
Have a good day.